ダニに刺された時の対処法は?

虫刺されの中でも特に厄介なのがダニによるものです。
ダニは蚊やノミなどと比べて繁殖力が高く、あっという間に数が増えてしまいます。目視できないほど小さいことが多く、刺される前に退治するのは簡単なことではありません。
蚊であれば、外出時に肌の露出を抑えたり、虫よけを使用したりすることで被害を抑えられますが、ダニの場合は家の中でも刺される可能性があり、同じような対策は困難です。

しかも、ダニに刺された時の痒みは蚊やノミに比べて強くて長い痒みになりやすいです。運良く刺されなかったとしても、ダニの死骸・フンがアレルギーの原因となる場合もあり、非常に厄介な害虫です。
また、ダニを介した危険な感染症も数多く存在します。

今回は、ダニの種類と刺された時の対策などについて解説します。

ダニの種類

ひとくちに「ダニ」と言っても、全てのダニが人間に害をなす訳ではありません。

私たちが日常生活で注意すべき主なダニは、チリダニ(ヒョウヒダニ)・コナダニ・ツメダニ・イエダニ・マダニの5種類です。
このうちチリダニとコナダニは、人間を刺さないダニです。ただし、チリダニやコナダニの死骸やフンはアレルギーの原因となりえます。

人を刺すダニのうち、家の中にいるのはツメダニとイエダニです。

ツメダニ

風通しの悪い場所や湿気ている場所など、密閉空間で増えやすいダニです。
梅雨の頃から秋にかけて被害が発生し、8月、9月はツメダニ被害のピークとなります。

ツメダニは他のダニの死骸やフンを食べて繁殖します。そのため、他のダニが増えるとツメダニも一緒に数を増やします。
基本的にはダニ死骸とフンを食べているため、積極的に人を刺そうとする虫ではありません。ただし。ツメダニの数が増えると偶然人間を刺してしまう可能性が高くなります。
ツメダニに刺されると赤く腫れたり、強い痒みが発生したりします。

イエダニ

ネズミや鳥などに寄生するダニです。
イエダニの被害は主に夏で、5月から発生し始め、気温や湿度の上昇に伴って被害も多くなります。

イエダニの侵入はネズミを介したものがほとんどです。野生のネズミにはほぼ100%イエダニがついています。ネズミがいれば確実にイエダニがいると考えて問題ありません。
外から入ったネズミが家の中で死んだり、家の中にネズミの巣があったりすると、イエダニに刺されやすくなります。

イエダニに刺されると痒くなったり腫れたりしますが、被害はそれだけではありません。ネズミについていたイエダニに刺されることで、ネズミが持っていた病気に感染することがあるためです。特に注意の必要なダニです。

昔は家に侵入するネズミの数が多く、イエダニの被害もよくあるものでしたが、最近は住宅環境が良くなったため、どちらも数を減らしています。ただ、古い家や繁華街の近くではまだまだネズミがいる可能性があるため、ネズミとイエダニには注意しましょう。

マダニ

ツメダニやイエダニとは違い、屋外で刺すことの多いダニです。マダニは公園や山、河川敷、庭などの草むらに生息する吸血性のダニです。

目視で確認が難しいツメダニ・イエダニとは違い、マダニは体長が3ミリから10ミリにもなる大型のダニです。血を吸うと膨れるため、これよりもさらに大きくなります。

マダニは多くの感染症の媒介となります。マダニが媒介する感染症には日本紅斑熱やライム病などがありますが、その中でも恐ろしいのが重症熱性血小板減少症候群という病気です。
マダニによる重症熱性血小板減少症候群(マダニ媒介SFTS)の主な症状は、発熱・倦怠感・消化器症状などで、致命率は国内でも20%にのぼります。

恐ろしい病気の感染源となりうるマダニですが、刺されても痒みを伴わないケースが多いため、刺されたことに気がつかない場合もあります。
草むらなどマダニのいるかもしれない場所に入ったあとは、必ずマダニに刺されていないかどうか確認しましょう。

マダニ対策には肌の露出を抑えることと、虫よけ剤の使用が有効です。
草むらに入る時は長袖長ズボンを着用し、首にはタオルを巻きましょう。袖や裾からダニが入ることのないように、袖は軍手の中に、ズボンの裾は靴下の中に入れるようにすると安心です。

虫よけ剤はディートの入ったものが有効です。庭仕事で草むらに入る時や、アウトドアで山に行く時は、肌の露出を抑え、ディートの入った忌避剤を使用しましょう。
ただし、ディートの入った忌避剤は子どもの年齢によっては使用できません。ディートが5~10%、12%のものは6ヶ月未満で使用禁止、ディート30%のものは12歳未満の子どもに使用してはいけません。

ダニと他の虫刺されの見分け方

ダニ以外にも、蚊やノミなども虫刺されの原因になります。他の虫刺されとダニによるものとをどのように見分けたら良いのでしょうか。

まず、マダニ以外のダニは屋内で刺されることがほとんどです。家の中で刺された場合、蚊やノミの可能性は低くなります。
次に、刺された箇所に注目しましょう。蚊やノミが刺すのは肌を露出していた場所がほとんどです。特にノミによる虫刺されは足にあることが多いです。露出していなかった場所が虫刺されにあっているようなら、ダニの可能性が高いです。
また、ダニは近くを何度も噛むことが多いため、刺されたあとが複数ある場合もダニを疑いましょう。

ダニの痒みは、蚊やノミに比べると強く長引きやすいため、強い痒みが長期間続いた場合もダニの可能性を疑うべきです。

ダニによる虫刺されと見分け方

ツメダニ

ツメダニによる虫刺されは、広範囲に渡る場合が多いです。強い痒みがあり、肌の広い範囲が赤くなっていたらツメダニの可能性が高いです。
刺されるのは腕の内側や太ももなど肌の柔らかい場所が多いです。
痒みは長いと1週間以上も続きます。

痒みの発生が数時間後から2日後など遅れてくることもあるため、いつ刺されたのか、どこで刺されたのかがわかりにくいです。

イエダニ

イエダニに刺された場合、刺された場所が赤く斑点になったり、水疱ができたりします。痒みは強く、1週間以上続きます。痒みがおさまっても刺された跡が残りやすいです。
刺されやすい場所はツメダニなどと同じく皮膚の柔らかい部分で、子どもなど皮膚の薄い人は特に刺されやすいです。

マダニ

マダニは他のダニとは違い、強い痒みが伴わない場合が多いです。痛みもなく、刺されても気がつかないケースもあります。
刺された場所は赤く腫れるため、草むらに入ったあとはマダニに刺されていないかどうか確認するようにしましょう。腫れは翌日になって現れることもあるため、草むらに入った日だけでなく、その次の日も確認が必要です。

マダニは恐ろしい感染症を媒介することもあるため、マダニに刺されたと気がついたらすぐ皮膚科に言って医師の診察を受けてください。

マダニは大型のダニで、吸血すると大きく膨れるため、血を吸っている最中のダニを見つけることもあるかもしれません。マダニの吸血時間は長く、数時間から数日に及ぶこともあります。
しかしその場合でも、無理やりダニを取り除いたり、潰したりしてはいけません。無理に取ろうとするとマダニの口が傷口に残ってしまいます。また、マダニの体が潰れてマダニの体液が逆流してしまうとより腫れが強くなってしまう可能性があります。

マダニに刺されて皮膚科に行く場合は、いつ、どこで刺された可能性が高いかも合わせて伝えるようにしましょう。マダニの媒介する感染症には潜伏期間の長いものもあるため、受診のタイミングによっては感染が見つけにくいケースもあるためです。

ダニに刺された場合の対処法

マダニに刺された場合はすぐに皮膚科を受診してください。マダニと他の虫刺されの区別がつかない場合や、強い痒みが長い時間続く場合も、医療機関を受診するようにしましょう。

ツメダニやイエダニによる虫刺されで、自宅で対処する場合、まずは患部を水でよく洗いましょう。お湯を使うと痒みが強くなってしまうため、冷たい水がおすすめです。
痒くてもかきむしってはいけません。かいてしまうと、腫れがひどくなったり、肌荒れや別の感染症の原因になったりするためです。

ダニによる虫刺されの痒みには、ステロイド系の薬が有効です。ステロイド系の薬がつかえない6ヶ月未満の子どもや、薬がない場合などは、冷たい水や氷で冷やすようにしましょう。炎症を抑え、痒みを軽減できます。どうしても痒みが続いてかいてしまうといった場合や、痒みが長引く場合は迷わず皮膚科を受診してください。

ダニ対策

ダニに刺されてしまった場合、すぐに対策をしなければまた同じように刺されてしまう可能性が高いです。

特にツメダニやイエダニなどのダニは人間を主なターゲットとはしていません。普段は他のダニの死骸を食べたり、ネズミの血を吸ったりして生きています。人を刺すようになるのは、数が増えてしまってからです。

大量のダニは、虫刺されの原因になるだけでなく、フンや死骸がアレルギーの原因になります。家の中の環境を安全に保つには早急なダニ対策が必要です。

ダニは乾燥や高温を嫌うため、衣類や布団を乾燥機にかけるのが簡単で効果的です。新たなダニの発生を抑えるために、押入れの風通しをよくしたり、定期的に布団やカーペットなどを干したりすることも大切です。

ただし、乾燥機にかけるだけではダニの死骸を完全に除去するのは難しかったり、ものによっては乾燥機を使うのが困難だったり場合もあります。ダニ対策については専門に行っている業者もあるため、一度プロに頼むのも一つの手段です。

ダニに刺されたら

ダニは人を刺す虫の中でも特に小さく、刺されたから存在に気がつくことの多い虫です。また、蚊やノミと違い、家の中にいても刺される可能性があります。

家の中で人を刺す主なダニはツメダニとイエダニで、刺されると強い痒みが長期間続きます。刺された場合はむやみにかかず、患部を洗ってから薬を塗りましょう。

家の中ではなく、草むらなどに生息しているのがマダニです。マダニに刺されても痒みはありませんが、感染症を媒介することもあるため、マダニに刺されたらすぐに医療機関を受診してください。
マダニに刺されないようにするためには、肌の露出を抑え、ディートの入った虫よけ剤を使用するのが効果的です。

ツメダニ・イエダニの対策としては、まず換気と掃除が大切です。ダニは湿気を好むため、風通しを良くすることで発生を抑えられます。ツメダニは他のダニの死骸によって増えるため、ホコリを掃除することでツメダニの餌をなくすことができます。
ダニが増殖し、刺されてしまった場合は、布団や衣類などを乾燥機にかけるようにしましょう。高温と乾燥によってダニは死滅します。

ダニは目に見えにくい非常に小さな虫ですが、アレルギーや感染症の原因にもなりうる厄介者です。快適で安全な生活のためにも正しい知識を持ってダニ対策を行いましょう。