ダニ退治の基本と予防

身近な害虫の中でもダニは特に厄介な存在です。
家の中にいる害虫としては、他にもゴキブリやシロアリが挙げられますが、これらの害虫は人に直接危害を加えることはほとんどありません。
しかし、ダニは人を刺したり、死骸やフンがアレルギーの原因となったりと、不快なだけでなく危険な存在です。

今回は家庭に潜むダニを退治する方法と、ダニの発生を抑え方について解説します。

◯見えない厄介者
ダニに刺されると猛烈な痒みに襲われ、時に感染症の原因となることもあります。また、ダニの死骸やフンはアレルギーや喘息の一因となるため、ダニ対策は大切です。

しかしダニを見つけ、退治するのは簡単なことではありません。
まず体が非常に小さく、見つけにくいです。
そのうえ、繁殖力が非常に高く、あっという間に数が増えてしまいます。ダニの寿命は3~4ヶ月ですが、その間に100以上の卵を生みます。30匹のダニがいれば、3ヶ月後には1万匹に増えてもおかしくないといわれているのです。

そのため、ダニに刺されたりダニの被害にあったりしてダニの存在に気がつく頃には、既に大量のダニが発生している可能性が非常に高いです。
ダニの被害に気がついたら、徹底的に退治するだけでなく、次の増殖を抑える措置も必要になります。

◯ダニの害
ダニの害は主に次の4つです。

・食品などへの被害
・ダニに刺される
・アレルギーの原因になる
・感染症を媒介する

ダニによる虫刺されは蚊に刺された時よりも強い痒みになりやすいです。痒みが持続する期間も長く、数週間から1ヶ月続くこともあります。

また、ダニの死骸・フンはアレルギーの原因になります。アレルギーによって、皮膚炎・結膜炎・鼻炎などが引き起こされます。また、小児喘息の主な原因の一つがダニによるものだともされています。
小さい子どものいる家庭なら、ダニ対策は急務です。

そして最も恐れるべきなのが感染症です。
ダニが媒介する病気には日本紅斑熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群などがあります。
ダニの種類によって媒介する病気は異なりますが、特に注意すべきなのはマダニです。マダニは動物のちを吸血して生きるダニで、マダニの媒介する重症熱性血小板減少症候群は致死率の高い危険な感染症です。

◯ダニが増えやすい環境
ダニが好むのは、適度に暖かくて湿気のある場所です。
具体的には、気温22~28℃、湿度60~85%が最もダニの増殖が活発になる環境です。

乾燥と極度な高温には弱く、50℃ならば数十分で、65℃なら数秒で死滅します。高温でなくとも、乾燥状態に長期間さらされるとだんだん数が減っていきます。

ダニの餌は種類によって異なりますが、主に人の皮脂や食べカス、他のダニの死骸などを餌としています。

ダニが増えやすい代表的な場所として、湿気と食べものがある布団やカーペット、ソファーなどが挙げられます。

◯ダニ対策
既に述べたように、ダニは小さく退治が困難で、存在に気がついた時には既に大量増殖している可能性が非常に高いです。
ダニの被害を抑えるには、まず今いるダニを全て退治し、その後ダニの発生がおきないように予防をすることが肝心です。

ダニ対策の基本は、高温と乾燥、そして餌となるものをなくすことです。
しかし、それをどうやって実現するかは場所によって取るべき方法が異なります。そこで今回は、ダニの発生しやすい場所別に、ダニ退治の方法と予防方法について紹介してゆきます。
今回紹介しなかった場所についても、熱と乾燥によってダニを殺し、その後乾燥と掃除によってダニを予防するというのは同じです。

また、ダニ対策のグッズなども色々と販売されていますが、使い方やダニの種類によっては効果が低くなることもあります。使用前にしっかりと説明書きを読み、その上で使用しましょう。

◯布団・カーペットのダニ
●退治方法
布団もカーペットもダニのいる場所としてよく挙げられるポイントです。

布団やカーペットのダニ対策としては、天日干ししたり、掃除機をかけたりなどがよく行われています。しかし、この2つだけでは不十分です。
確かに日に当てれば乾燥によってダニの数は減りますが、それでも3割ほどしか減りません。太陽の熱で死ぬダニもいますが、繊維の奥にいるダニまでは退治できません。掃除機の場合も同様で、奥に入り込んだダニまでは吸いきれません。

布団やカーペットにいるダニを手っ取り早く退治する方法は、乾燥機にかけることです。ダニや50~65℃以上の熱にさらされると死ぬため、高温乾燥機に数十分かければ布団やカーペットの中のダニを全て死滅させることが可能です。
コインランドリーには布団などの大型のものを入れられる乾燥機がおいてあります。

乾燥機でダニを死滅させたら、掃除機をかけてダニの死骸を取り除いて完了です。

●予防方法
ダニが好む湿気を取り除き、餌となるものをなくすのが基本です。

まず定期的に天日干しをし、布団やカーペットを乾燥させましょう。天日干しの際に、強く叩いてはいけません。繊維の中にあるダニの死骸や卵が飛び散り、ダニの繁殖範囲を広げてしまう恐れがあります。また、布団を叩きすぎると繊維が傷つき、布団自体の寿命を縮めてしまいます。

天日干しのあとは掃除機をかけ、表面に付着したホコリや皮脂、食べかすなどを取り除きます。子どもが小さく食べこぼしの多い家庭や、食卓近くのカーペットはこまめに掃除機をかけるようにしましょう。

ダニの発生しにくい素材や加工をされた布団・カーペットを選ぶのも非常に有効です。カーペットの場合、カットタイプよりもループタイプの方がおすすめです。毛が寝てしまいにくく、ダニの発生が抑えやすいです。

◯ソファーのダニ
●退治方法
布団・カーペットと同じく、ソファーはダニが多くなりやすい場所です。上で寝転んだり、ものを食べたりすることも多く、ダニの餌がたくさんあります。

ソファーのダニ退治は簡単ではありません。布団よりも厚みがあるため、内部に湿気が溜まりやすく、ダニも増えやすいです。

布団のように乾燥機に入れることはできないため、熱でダニを殺すためにスチームアイロンを使用します。ただし、スチームアイロンを使用すると中に湿気が溜まってしまいます。そのままにするとダニやカビの原因になりうるため、アイロンを使ったあとにはドライヤーで徹底的に乾燥させてください。

●予防方法
ダニに餌を与えないことが大切です。定期的に掃除機をかけ、食べこぼし・皮脂を取り除きましょう。
ソファーと壁・家具の間に隙間を開け、風通しを良くしておくのも有効です。

ソファーのダニ予防は布団・カーペットに比べるとずっと難しいです。兎にも角にもこまめな掃除が書かせません。

革やアクリルのソファーは比較的ダニが発生しにくいのですが、それでも汚れているとダニが住み着く原因になります。また、革のソファーにはスチームアイロンが使いにくいため、ダニが一度発生してしまうと退治がより困難になるという欠点もあります。

◯たんす・衣装ケース・クローゼットのダニ
●退治方法
たんすや衣装ケースには洗ったあとの服をしまうため、基本的にダニの餌が少ないです。しかし、季節ものの衣類などあまり開けることのない場所の場合、湿気が溜まってダニが増殖する可能性があります。

こうした場所でダニを見つけた場合、まずはそこにしまわれていた衣類を全て洗濯しましょう。その後、高温乾燥機にかければ、衣服についたダニは全て退治できます。
引き出しの内部もキレイに掃除をして、ホコリや繊維のクズを除去します。引き出しが完全に乾いてから服を戻せば完了です。

●予防法
たんすや衣装ケース内でダニが繁殖する主な原因は湿気です。
長期間使わない衣類でも、定期的に風を通すなどしましょう。乾燥剤を使うのも有効です。あわせてダニに効果のある防虫剤も使用すれば、ダニ対策はバッチリです。

◯畳のダニ
●退治方法
畳に発生したダニ退治は大変です。

畳は干してしまうと変色するため、天日干しはできません。当然乾燥機に入れることもできませんし、薬剤を使用したダニ退治も困難です。掃除機で表面のダニを吸うことはできますが、内部のダニまで吸い出すことはできません。

ダニの数が少ないうちであれば、ソファー同様スチームアイロンで退治できます。アイロンを使う際は、畳を焦がさないように気をつけるようにしましょう。
ダニの数がごく少数であるようなら、畳の下に乾燥剤や防虫剤を敷くことでダニを抑えられる場合もあります。

しかし、ダニが大量に繁殖してしまったら業者に高温乾燥処理を依頼するか、畳ごと変えてしまうほかありません。

●予防法
実のところ、最近の畳は昔のものほどダニが繁殖しません。

畳といえばい草だと思っている人も多いのですが、特にマンションなどの畳はい草以外の素材でつくられているものが非常に多いです。
こうした畳はダニが繁殖しにくいため、古い畳を使っているようならダニが繁殖しづらい畳に変えてしまうのが一番です。
また、い草の畳であっても、最近は熱処理などでダニの発生が抑えられています。

ダニがつきにくい素材を選んだ上で、掃除機をかけて表面のゴミを取り除き、定期的に部屋の換気を行えば、畳でダニが繁殖する恐れはほとんどありません。
畳のある部屋でダニ被害にあった場合、すぐにダニを疑う人も多いのですが、本当の原因は他にあるケースも多いです。

◯掃除機のダニ
ダニの繁殖場所で盲点になりやすいのが掃除機の中です。

布団やカーペットに掃除機をかけたあと、ごみや汚れを残したまま掃除機を放置すると、フィルターの中でダニが増えてしまうことがあります。掃除機の中は適度に暖かく、ダニの餌となる食べかすや皮脂もいっぱいです。

掃除機をかけたあとはフィルターを交換したり、清掃したりして、掃除機の中でダニを増やしてしまうことのないように心がけましょう。

◯ネズミとダニ
ダニの中には、ネズミや鳥などに寄生しているものもいます。

野生のネズミにはほぼ確実にイエダニというダニが住み着いています。ダニに規制されたネズミが家の中で死んだり、ネズミの巣が家の中にあったりすると、イエダニにかまれる原因になります。

イエダニは血を吸うダニで、ネズミの持つ感染症を媒介することもあります。もし死んだネズミを見つけても、素手でさわってはいけません。
死んだネズミ一匹であれば掃除できますが、万が一ネズミが家に巣を作ってしまった場合は専門業者に駆除を依頼してください。ネズミを毒餌で殺すだけではダニの駆除はできません。ネズミの死体も一つ残らず片付けなければならず、素人には難しいです。

古い住宅や繁華街の近くでは、ネズミによるダニ被害にも注意しましょう。

◯ダニ対策のまとめ
ダニは虫刺されやアレルギーの原因となり、時には感染症を媒介する危険な存在です。しかし、体が小さいため侵入に気がつくことは難しく、虫刺されなどの被害にあって初めてダニの存在に気がつくというケースも多いです。
ダニ対策の基本は、まず今いるダニを退治し、その後予防策を取ることです。

ダニは湿気のある環境を好み、ダニの死骸や皮脂、食べかすなどを餌にしています。極度な高温・乾燥にさらされると死んでしまうため、高温乾燥機にかければ簡単に死滅させることができます。ダニを退治したら、掃除機などで死骸を取り除けば完了です。
あとはこまめな掃除でダニの餌をなくし、換気などで湿気をこもらせないようにすればダニが再び繁殖することもなくなります。